第7話
「……っぷあーーっ」
下着を穿きなおし、顔を洗って気分的にも落ち着いた。
濡れた顔をハンドタオルで拭い、すっきりしたとばかりに咲は大きく息を吐き出す。
(危ない危ない、勢いでとんでもない事するとこだった)
下駄箱の前で下着を脱ぐ事は無意識に「とんでもない事」から外していた。とはいえ、あのまま続けていたら危険な事には変わりない。
クラスメイトはいつ登校してくるとも知れないのだ。
特に運動部員は朝練をやっているので、教室にはいなくても校内かグラウンドあたりにはいるはず。
何らかの用で、もしくは早めに切り上げて教室に来る事もあるだろう。
(さすがに教室で全裸じゃ言い訳も――って、だからやらないっての!)
自分の思考がまだ「そっち寄り」になっている事に気付いて、慌てて首を振った。
お姉さんとの出会いか、それとも未来の奇行を見続けたせいか――ここ最近、どうしてもその事ばかりを考えてしまう。
人がいるかもしれない場所で、下着を脱いだり、全裸になったり。
例えばそう、このトイレでも――。
「……」
まだ湿り気のある首元にタオルをあてがいながら、ちらりとトイレの奥を見やる。
あれを見たのは4、5日前のこと。
休み時間にトイレへ向かった咲を迎えたのは、一番奥の個室から全裸で出てきた未来の咲だった。
制服は個室の中に置いてきたのか、身を隠すものは何も持っていない。
両手で胸と股間を隠すような素振りを見せつつ、未来の咲はトイレから出ようとしていた。
あまりの事に呆然と入り口に突っ立っていた咲とは自然とすれ違う形になり――未来の咲がこちらを見てふっと微笑みかけて、廊下に出て行った。
あの時の笑みは気のせいなのかもしれないが、未だに理由が分からない。
向こうも同じ未来視をしているのだから、その立ち位置に咲がいる事は知っているはずだが――。
(やってみなよ……とでも言いたかったの?)
今までも、目配せ程度のものであれば、未来からのメッセージ的なものは何度かあった。
それは過去の自分への忠告や警告だったりしたわけだが、今回のように柔らかく見守るような顔をされることもある。
もちろん、いずれは自分自身でする事になるのだが、不思議と気付いたらやってしまっていることが多い。
だからこれも同じく、これから行為に及ぶであろう過去の――つまりは今の咲への、激励的な意味があるのかもしれない。
あの時は馬鹿馬鹿しいと一蹴したが――。
ゴクリ、と唾を飲み込む。
今の咲は、その誘いを拒みきれない。
あのお姉さんと出会ってしまったから。
行為の先に待つ、あの淫靡な感覚を知ってしまったから。
(ダ、ダメ……私、そんな、やるつもり……なんて)
一歩、また一歩。
ダメだダメだと思っているのに、トイレの奥に向けて身体が自然と動きだした。
見つかったらどうするのと不安と焦りが募る一方、どんな気分になれるのだろうと期待感が膨らんでいく。
歩きながらブラウスのボタンを一つ、二つ外すと、ブラウスの首もとが緩んでゾク、と身体が打ち震えた。
きっと、この何十倍、何百倍の快感が待っているはず――。
ドキドキと高鳴る鼓動に後押しされる形で、個室のドアに触れる。
「ふっふふーん……あれ、咲?」
「ひ!?」
背後からの聞き慣れた声に、咲は飛び跳ねる勢いで振り返った。
咄嗟にブラウスの首もとを手繰り合わせ、普通の格好を装う。
「なぁにそれー、慌てすぎ! ちょっと待ってて、一緒に戻ろー」
「ぁ、うん……」
咲がおずおずと頷いたのを了承と受け取り、朗らかに笑う紀子はトイレの個室に入る。
――危なかった。もし、紀子が数分遅れてトイレに来ていたら………………。
ドアがパタンと閉じる音に安堵し、咲はいそいそとブラウスのボタンを留めていった。
第7話ここまで
第一話
未来視できる少女が見た、自分の露出行為
第二話
教室で全裸露出プレイを楽しむ未来の咲
第三話
コートの下は全裸な露出狂のお姉さん
第四話
美人なお姉さんが露出する理由
第五話
露出狂への階段を登る少女
第六話
ついに下着を脱いでノーパンになる女子中学生
第七話
トイレで全裸露出する未来の自分からの露出のお誘い
第八話
露出狂なお姉さんへのほのかな憧れを胸に、教室で脱ぎ出す少女
第九話
校内で全裸露出する咲ちゃん14歳
第十話
超絶ピンチ!!露出プレイを楽しんでいたら、人が来たよ!
第十一話
女子中学生が教室でオナニー、そのまま絶頂へ!
第十二話
下半身を露出したままで教室で教師とご対面
第十三話
数年後、コートを羽織った露出狂の女がそこに
最終話