第10話
(え、えっ……!? 待って、待って……!!)
当初は色々と想定していたはずの咲だが、露出の緊張感に加えてのハプニングで頭が真っ白になっていた。
徐々に近づいてくる足音に気が急くばかりで思考がまとまらず、カチカチと歯を鳴らしながら「どうしよう、どうしよう」と呻く。
足音の主が生徒であっても教師であっても、見つかればタダでは済まない。
もし見つかったら――糾弾されるにせよ捕まるにせよ、まずろくな事にはならない。
嫌な未来が頭をよぎって、目じりに涙が溜まる。
見つかってはいけない。見つからないためには――。
(あ…………そ、そだ。逃げなきゃ。隠れない、と……)
当然の事実にようやく気付いた咲は、慌てて周囲に目を走らせ隠れられる場所を探す。
どこなら安全か。どこなら見つからないか。
具体的に場所を探し始めたあたりで、始める前にいくつか当たりを付けていた場所をようやく思い出してきた。
教室に戻るか、トイレに入るか、いっそ上の階に逃げるか――。
(安全なのはやっぱり、トイレ……あ、ダメ! 制服!!)
階段を挟んで教室とは反対側にあるトイレに向かおうと一歩踏み出したところで、置きっぱなしの制服の存在に思い至る。
もし下から来ている人が教室へ行ってしまったら――教卓に堂々と置かれた制服に気付かれる可能性は高い。
しかも下着まで置かれているのだから、体操着に着替えた等と都合の良い解釈も期待できない。
自分の机には鞄も置いているので持ち主の特定は容易く、少し調べられたら服を脱いだのが咲だと一発でバレる。
(な、何とかしないとっ)
教室の中など、周囲から隠れられる場所はほとんどない。
それでも、見つかったときのリスクを考えたら制服をそのままにはしたくなかった。
うっかり音を立てないように気を払いつつ、咲は踵を返して教室へと駆け出した。
*****
「よし、これで……」
制服を手に取った咲は、ふぅと息をつきつつ次の策を模索していた。
できるなら今すぐにでも服を着たいところだが、その時間はない。
それこそ、服を着ている最中にさっきの人が来てしまったり――。
「――っ!?」
視界の端、廊下に現れた人影が見えて、咲は反射的にしゃがみ込んだ。
そのまま教卓の下に潜り込める位置だったのは不幸中の幸いかもしれない。
ゴクリ――。
息を潜め、全身全霊を込めて気配を殺す。
ちらりと見えた限りでは、廊下にいた人は制服ではなかったし、背も高そうだった。
つまり、大人の男性――教師だ。
こんな時間にここに来たということは見回りだろうか。
「おい、まだ誰かいるのか?」
「――っ!!」
野太い声が教室の入り口付近から発せられて、咲は総毛立つ思いだった。
教卓の下は、入り口からは角度的にまず見えない。
けれど、教室に入って来られたらその限りではない。
注意深い人なら教卓と床の数センチの隙間から肌が見えていることに気付くかもしれないし、回り込まれようものならそれこそ丸見えだ。
最悪を思い浮かべた咲は抱えた制服を抱き寄せ、震える身体を必死で押さえつける。
「……いないな。気のせいか?」
(み、見られてた……!? お願い、そのままどこか行って……!)
「鞄はあるようだが……流石にこの時間だし、名前ぐらいは確認しておくか」
(え、ちょっ……、ダメ、ダメ……!)
咲の希望も虚しく、鞄の存在に気付いた教師が教室に踏み入ってきた。
教卓から、わずか数メートル。
鞄の記名欄を確認しているのだろうが、その距離からでは下手をすると教卓の下の隙間に気付かれかねない。
「箕輪――あいつか。まぁ箕輪なら問題ないだろ。また様子見に来るか」
その呟きを残し、見回りの教師は教室を後にしたらしい。
ガラガラとドアを閉める音を聞いた咲は、しばらくして盛大なため息をこぼした。
「せ、せぇふ……」
普段の素行と成績の良さが功を奏したようだ。
教師からの信頼を大いにぶっちぎっている点には少々の罪悪感を覚えたが、それよりも危機を脱したことによる安心感が大きい。
咲は教卓に背を預け、呆然と宙を見つめていた。
第10話ここまで
第一話
未来視できる少女が見た、自分の露出行為
第二話
教室で全裸露出プレイを楽しむ未来の咲
第三話
コートの下は全裸な露出狂のお姉さん
第四話
美人なお姉さんが露出する理由
第五話
露出狂への階段を登る少女
第六話
ついに下着を脱いでノーパンになる女子中学生
第七話
トイレで全裸露出する未来の自分からの露出のお誘い
第八話
露出狂なお姉さんへのほのかな憧れを胸に、教室で脱ぎ出す少女
第九話
校内で全裸露出する咲ちゃん14歳
第十話
超絶ピンチ!!露出プレイを楽しんでいたら、人が来たよ!
第十一話
女子中学生が教室でオナニー、そのまま絶頂へ!
第十二話
下半身を露出したままで教室で教師とご対面
第十三話
数年後、コートを羽織った露出狂の女がそこに
最終話