第12話 下半身を露出したままで教室で教師とご対面
(こ、こうなったら今、着るしか……)
――音を立てないように、教卓の陰から身体がはみ出さないように。
咲は全神経を研ぎ澄まし、指先ひとつにも細心の注意を払って身体を動かしていく。
制服の上着を頭から被り、モゾモゾと右腕、左腕と袖を通す。
そう、問題なのは全裸なこと。服を着てしまえば問題はなくなるのだ。
咲の身体がギリギリ隠れるスペースしかない場所での着衣は困難を極めるが、見つかるくらいなら――それが咲の出した結論だった。
「んー? 声はしたんだがなぁ……」
奮闘する咲の事情を露ほども知らない教師は、自らの疑問を解決すべく何気なく教室に踏み入ってきた。
その足音に、咲の心臓は盛大に跳ね上がる。
(そんな、待っ……!?)
まだ、スカートを身につけられていない。
辛うじて上半身に衣服を1枚纏っただけで、下半身は丸出しだ。
この状況で見つかるわけには――いや、まだ今の位置関係なら大事な部分は教卓で隠すことができる。
それならいっそ――。
上手くいくよう祈りながら、咲は足を震わせておずおずと立ち上がり、口を開いた。
「あれ、先生?」
「なんだ、いたなら返事しなさい」
「す、すみません。ちょっと転んじゃって」
「あぁ……そうなのか?」
この程度の嘘に抵抗はないものの、普段より声が上擦ってしまう。
バレやしないかと気が気でない咲だったが、教師はというと呆れているだけで近付いてくる様子はない。
この反応には内心、ホッとしていた。
それでもやはり、腰から下の心許なさは半端ではない。
未だ膝が笑っていて、さりげなく机の縁にお腹を密着させて寄りかかる。
その様子を観察でもするように目を細めた教師は、ひとつ息をついた。
「ふむ……まぁでも、その様子なら怪我はなさそうだな」
「は、はい! 全然、大丈夫ですっ!」
「それならいい。もうすぐ暗くなるから、あまり遅くなるんじゃないぞ」
それだけ言うと満足したのか、教師はくるりと踵を返して廊下へと向かう。
その後ろ姿をじっと見送りながら、うっかり近寄られでもしたら――などと不安に思っていた咲はホッと胸を撫で下ろした。
――と、ふいに教師は振り返り、
「あぁそうそう」
「ひゃいっ!?」
「もし後から痛みとか出てきたら、ちゃんと保健室いくんだぞ」
「ぁ……はい、そうします」
そう一言言い残して、今度こそ教師は立ち去った。
完全に一人になったところで、緊張の糸がほどけた咲はへなへなとしゃがみ込む。
「こ……怖かったぁ……」
いくら教卓で遮られているとはいえ、下半身裸のまま人と会話するのは危険すぎた。
とは言っても、あのまま咲が姿を現さなければここまで近寄られていたと思うと、今の選択は正しかったのだろう。
咲の気紛れな予見能力は、こういうものにこそ働いてほしいものだが――。
(……もっと色々、お姉さんに聞いておけば良かった)
あの時の咲にはそのつもりがなかったので仕方ないが、全面的に否定してしまったことには後悔しかなかった。
もしかしたら、こういうときのための対処法をあらかじめ聞けたかもしれないのに。
(とりあえず……服、着て帰ろ)
気を取り直して、咲はもそもそとスカートに足を通す。
ホックとファスナーをとめたところで安心できる状態になったが、何となく下着をつける気にはなれなくて、丸めて鞄に突っ込んだ。
(下着なしで外に出るなんて、ホント、お姉さんと同じ……)
けれど、こうして続けていればいつかは――。
第12話ここまで
第一話
未来視できる少女が見た、自分の露出行為
第二話
教室で全裸露出プレイを楽しむ未来の咲
第三話
コートの下は全裸な露出狂のお姉さん
第四話
美人なお姉さんが露出する理由
第五話
露出狂への階段を登る少女
第六話
ついに下着を脱いでノーパンになる女子中学生
第七話
トイレで全裸露出する未来の自分からの露出のお誘い
第八話
露出狂なお姉さんへのほのかな憧れを胸に、教室で脱ぎ出す少女
第九話
校内で全裸露出する咲ちゃん14歳
第十話
超絶ピンチ!!露出プレイを楽しんでいたら、人が来たよ!
第十一話
女子中学生が教室でオナニー、そのまま絶頂へ!
第十二話
下半身を露出したままで教室で教師とご対面
第十三話
数年後、コートを羽織った露出狂の女がそこに
最終話