第2話
昼休みになるなり、短いポニーテールを弾ませて友人の紀子が駆け寄ってきた。
紀子は空いていた前の席の椅子に陣取り、ぐいっとノートを突き出して、
「さーきー! 宿題見せっこしよ!」
「来ると思った……数学?」
「うん、もうさっぱりでさー。今日当てられそうだし、咲先生のお力をー……ね?」
「いいよ。その代わり、明日英語のノートね?」
「よしきた。英語は今夜頑張るっす!」
「ふふ。はい、これ」
「ありがと!」
お礼もそこそこに、紀子は二つのノートを並べてシャープペンを走らせる。
見せ合うというよりは書き写す作業なわけだが、そこはお互い様。
得意教科の違いを上手く活用しているに過ぎない。
「三年になって、レベル上がったよねー……」
「だねぇ」
紀子の気のない相槌に、今話しかけるのは無理か、と咲は頬杖をついた。
「ほほぉ」とか「へぇ」とか感心しながら筆を進める紀子を微笑ましく見守る中――
(――ん?)
咲の隣を、すうっと見知った影が横切った。
すぐに例の未来の自分と分かると同時に、朝の出来事が頭をよぎって脱力感に襲われる。
「……はぁ〜っ」
「むぉ、でっかいため息。どしたん?」
「あぁ、えっと……ごめん、何でもない」
「ふぅん?」
私はそのうち、学校の玄関口で下着を脱ぐかもしれない――とは言えるわけがなかった。
再び書き写しに意識を戻した紀子を見て胸を撫で下ろし、咲は教室内を歩く未来の自分に視線を戻す。
(にしても、珍しい)
一日に二度も未来を見るのは、久々だった。
だからと言って特に何があるというわけではない。
以前も無駄に一時間おきに見るという珍事にみまわれたが、結局は日常そのものだったのだから。
「……」
紀子がペンを走らせる音をBGMに、教室内を歩く未来の自分を何となく目で追いかける。
きちんと机と机の間を歩いているあたり掃除の時間とかではないらしく、すたすたと教卓まで歩いていく。
そのまましばらく、躊躇うようにうろうろしていた未来の咲は、程なく教卓の前に立って教室を見渡した。
(あんなところで、何を――?)
あの挙動不審具合では、授業中やホームルームということは絶対にあり得ない。
とするなら早朝か放課後か、はたまた移動教室の授業を抜けて来たか――いずれにせよ、無人の教室のはずだ。
(……まさか)
警戒心をむき出しで周囲を見渡している自分の姿は、まるきり朝の姿と同じだ。
やがて意を決したように頷いた未来の咲は、その場でおもむろに制服を脱ぎ始めた。
セーラー服、スカート、キャミソール――着ている物を順に脱ぎ、綺麗に畳んでは教卓に置いていく。
その姿を前に、咲は全身の汗を噴き出して顔を赤らめた。
教室には男女問わずクラスメイトが多数残っていて、そんな中、一番目立つ場所で自分が下着姿になっていく。
咲にしか見えていないとはいえ、この状況はまるで衆人環視のようで内心穏やかではいられない。
そんな咲をよそに、下着姿になった未来の咲の手は止まることなくブラに手をかけた。
(ちょっ……!)
「あーーーーーーっ!!!」
咄嗟に咲が立ち上がると同時、紀子の大きな声が教室内に響いた。
何事かと机を見下ろすと――紀子のノートには10センチほど歪んだ線が縦断していた。
解きかけの数式を真ん中から突っ切るように走った線は、二つ前の問題まで巻き込んで台無しにしている。
立ち上がる拍子に机を揺らしてしまったらしい。
「せっかく綺麗に書いたのにぃ」と紀子が涙目になる。
「ご、ごめん。つい……」
言いながら、視線だけ教卓に戻し――そこには未来の咲の姿はなく、咲は慌ててぐるりと教室中を見渡す。
紀子の叫び声のせいで注目したクラスメイトとちらほら目が合うが、そんな中、明らかに全身肌色の存在を見つけた。
未来の咲は、ゆっくりではあるが教室から廊下へと身を投げだし――そのあたりで、ふっと霧散するように消え去った。
(な……何、してんのよ……!?)
校内を全裸徘徊する未来。
そんなものを受け入れることは、到底できなかった。
第二話ここまで
第一話
未来視できる少女が見た、自分の露出行為
第二話
教室で全裸露出プレイを楽しむ未来の咲
第三話
コートの下は全裸な露出狂のお姉さん
第四話
美人なお姉さんが露出する理由
第五話
露出狂への階段を登る少女
第六話
ついに下着を脱いでノーパンになる女子中学生
第七話
トイレで全裸露出する未来の自分からの露出のお誘い
第八話
露出狂なお姉さんへのほのかな憧れを胸に、教室で脱ぎ出す少女
第九話
校内で全裸露出する咲ちゃん14歳
第十話
超絶ピンチ!!露出プレイを楽しんでいたら、人が来たよ!
第十一話
女子中学生が教室でオナニー、そのまま絶頂へ!
第十二話
下半身を露出したままで教室で教師とご対面
第十三話
数年後、コートを羽織った露出狂の女がそこに
最終話