第4話
「んー……そうね、なんでだと思う?」
お姉さんは優しく、それでいて悪戯っぽく微笑んだ。
「えっと……」言われて、少し考えてみる。
――欲求不満?
そう思い、咲は改めて”あの時”のお姉さんの身体を思い出していた。
手入れの行き届いた艶のある黒い長髪に、スレンダーな割にきちんと出るところは出ている女性らしい身体つき。
一見、異性にモテそうだがそうでもないのだろうか。咲がまだ子ども故にそう感じてしまうだけ、とか。
さすがにそれを口に出すのは憚られ、しかし他に理由も浮かばない咲はぶんぶんと首を横に振った。
お姉さんは目を細め、ニヤリと悪戯心を露わにする。
「欲求不満とか、思ったんでしょう?」
「あ、いえ、その…………ごめんなさい」
「あははは、いいのよ。実際、半分は当たりだしね」
「むぅ……」
図星で顔を伏せた咲を見て、お姉さんは嬉しそうに笑う。
年上相手なのだから仕方ないが、どこか遊ばれているようで咲はむくれてみせる。
それでも何か言い返せないものかと頭を捻り、ふとお姉さんの言葉が引っかかった。
「……あ。ってことは、残りは?」
「え?」
「『半分は当たり』って言ったじゃないですか。残り半分」
「あ。あー……そう言ったんだっけ……。えーっと、それは……」
「お、それは? なになに?」
言い澱んだお姉さんを見て、咲はニィッと口の端を吊り上げた。
仕返しとばかりに、してやったりと身を乗り出す。
「解放感、かなぁ」
「……かいほーかん?」
お姉さんは頬に手を当て、ぼんやりと宙を見つめながらポツリと呟く。
その言い方はどことなく意味深で、咲は目を丸くしながらオウム返ししかできなかった。
「……昔から自分を偽ってきた反動っていうのかな。親にもずっと隠しごとしてたから。気にしてないつもりだったんだけど、やっぱり心の奥底で鬱憤が溜まってたみたい。それである日の学校帰りにね、露出してるお姉さんに出会ったの。偶然ね。どうしてそんな事してるの〜とか、どんなことしたのか〜とか、色々話を聞いたなぁ……。あぁ、ちょうど今日の私たちみたいな感じよ」
「そ……そうなんですか」
「その時のお姉さんのことが忘れられなくてね。1回だけ試すつもりでやってみたんだけど……もう1回、もう1回だけって、抑え込んできた自分を全てさらけ出すのがだんだん癖になってきてね。今はほら、この通りよ」
ウインクしながら、お姉さんは襟元を少し開いて見せた。
それほど大胆ではないものの、胸の谷間が結構危ないところまで覗いている。
その動きだけでお姉さんのコートの下のことを思い出してしまい、咲は頬を赤く染めた。
「そっ……そんな風に人に見せてたら、いつか捕まっちゃいますよっ!」
「ふふ、心配してくれてるの? ありがとう、でも大丈夫よ。こうやって見せたの、あなただけだから」
「へ……?」
その言葉に咲の心臓がドキッと跳ね、思考が固まった。
間の抜けた声を漏らしながら、言い切って缶コーヒーを口にするお姉さんを呆然と見つめる。
(私だけ……? え、なんで……?)
言葉の真意が掴めなかった。
単純に、露出行為中にたまたま居合わせてしまったから――それとも何か、別の意図があるのだろうか。
答えを期待してじっと続きの言葉を待つが、お姉さんは物憂げに地面を見つめ、静かに息を吐くだけ。
どうやら今の話はここで終わってしまったらしく、疑問を抱えた咲には不満が残る。
けれど――さっきの話から何か思い出してでもいるのか、どこか焦点の合っていないお姉さんの横顔を見ると問いただすことはできなかった。
「「………………」」
(ど、どうしよう……)
二人、静かにコーヒーで喉を潤す。
缶の中身はもうそれほど多くない。
なんとなく、飲み干した時点でお姉さんとはお別れな気がして、咲は心なしか焦っていた。
「あ、あの」
「……ん? なぁに?」
「えと……その、そうだ。今までどんなことしたんですか?」
「……気になるの?」
ニィ、と笑うお姉さんの目が妖しく光った。
第四話ここまで
第一話
未来視できる少女が見た、自分の露出行為
第二話
教室で全裸露出プレイを楽しむ未来の咲
第三話
コートの下は全裸な露出狂のお姉さん
第四話
美人なお姉さんが露出する理由
第五話
露出狂への階段を登る少女
第六話
ついに下着を脱いでノーパンになる女子中学生
第七話
トイレで全裸露出する未来の自分からの露出のお誘い
第八話
露出狂なお姉さんへのほのかな憧れを胸に、教室で脱ぎ出す少女
第九話
校内で全裸露出する咲ちゃん14歳
第十話
超絶ピンチ!!露出プレイを楽しんでいたら、人が来たよ!
第十一話
女子中学生が教室でオナニー、そのまま絶頂へ!
第十二話
下半身を露出したままで教室で教師とご対面
第十三話
数年後、コートを羽織った露出狂の女がそこに
最終話