第13話 数年後、コートを羽織った露出狂の女がそこに
――いつの間にか、未来を見なくなっていた。
いつからだろうと記憶を辿ってみても、果たして何が最後に見た未来なのかイマイチ特定できない。
道端を歩いていたり、漫画を読んでいたり。
そうした印象に残らない未来がほとんどなのだから、当然といえば当然だ。
では、印象的なものに限定すればどうだろうか。
印象に残っているものの中で最も新しい記憶は、やはり露出行為に及ぶ自分の姿。
それを考えると、実際に咲が露出行為をやり始めたあたりで未来を見なくなったような気がする。
気のせいかもしれないけれど。
そういえば、あのお姉さんに初めて会ったのもその時期だった。
また会えるとは言っていたけれど、今のところそれは叶っていないし、叶うとも思っていない。
せいぜい、叶うといいなと思う程度には諦めもついていた。
まぁ、大人になったということなのだろう。
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数年の月日が経った、肌寒さの残る4月下旬。
薄手のスプリングコートに身を包み、咲は家から駅へと続く道を歩いていた。
「あー疲れた……まったく、ゴールデンウィーク前に7回忌って、ウチの親は何考えてんのよ」
高校生の頃に亡くなった祖母の法事にとどうにか有給休暇を取ったものの、業務がピークの職場で連休前に連休を重ねられるわけがない。
ほとんどとんぼ返りが確定した咲は、ボストンバッグ一つという軽装で今回の帰省に臨んでいた。
故に、愚痴をこぼすぐらいの権利はあるはずだ。
そもそも7回忌ともなれば、その重要度はさして高くない。
祖母は大往生だっただけに、葬式当日ですら和やかな雰囲気だったのだ。
特別誰かが悲しんでいたというのもなく、墓前への近況報告と、親戚の酒席で懐かしむ程度のものだった。
咲も例に漏れず、髪を伸ばしてみたとか、大学卒業後は東京で就職して一人暮らしを始めたんだとか、そういうことを墓前で語ってきた。
さすがに、実家を出ると露出行為も色々と捗っている――なんてことまでは言えなかったけれど。
(……早く出すぎたな)
このまま居続けると実家の手伝いをさせられるので早々に離脱してきたが、予定の便から逆算すると4時間近く待つハメになりそうだ。
かといって、どこかぶらつくには荷物が重すぎる。
(どうしたもんかなぁ……って、わぷっ!?)
良い案も浮かばずぼんやり歩いていると、突然の強風に煽られてよろけてしまった。
思わず立ち止まって風をやりすごし、もう、と悪態をついて乱れた髪を整える。
憧れから始めたとはいえ――髪を伸ばしていると、こういうとき面倒だ。
ようやく整い終えて顔を上げたとき、すぐそこの公園に目が向いたのはお姉さんの事が頭にあったからだろうか。
(そういえばあの時も、風強かったっけ)
あのお姉さんと出会った時のことをしみじみと思い起こす。
特別風の強かった、4月の下旬の学校帰り。
初めて会ったのは川辺だったけれど――そう、お姉さんは全裸で茂みに隠れていた。
この公園で全裸にコート一枚羽織って歩いてきたと聞かされた時はさらに驚いたものだ。
――ゴクリ。
そんなことを考えていたら、思わず生唾を飲み込んでしまった。
コートなら今まさに着ているし、時間帯もあの時と似た感じ。
公園はまばらに人はいるものの、トイレで着替える分には問題ないだろう。
その上、地元を離れたとはいえ、今も勝手知ったる土地だ。咲には良い感じの刺激になるかもしれない。
(これは……うん。やるしかないな)
口の端を吊り上げて、咲は公園のトイレに向かった。
第13話ここまで
第一話
未来視できる少女が見た、自分の露出行為
第二話
教室で全裸露出プレイを楽しむ未来の咲
第三話
コートの下は全裸な露出狂のお姉さん
第四話
美人なお姉さんが露出する理由
第五話
露出狂への階段を登る少女
第六話
ついに下着を脱いでノーパンになる女子中学生
第七話
トイレで全裸露出する未来の自分からの露出のお誘い
第八話
露出狂なお姉さんへのほのかな憧れを胸に、教室で脱ぎ出す少女
第九話
校内で全裸露出する咲ちゃん14歳
第十話
超絶ピンチ!!露出プレイを楽しんでいたら、人が来たよ!
第十一話
女子中学生が教室でオナニー、そのまま絶頂へ!
第十二話
下半身を露出したままで教室で教師とご対面
第十三話
数年後、コートを羽織った露出狂の女がそこに
最終話