第11話
クチ――クチュ――。
しんとした教室に、ねっとりとした水音が漏れる。
それは耳を澄ませないと聞き取れないほど微かなものであったが、発生源そのものである咲の耳には確かに届いていた。
「ん――ふ……っ!」
指先で秘核をこねるたびに、爆ぜるような快感に襲われる。
必死に声を抑えるが、全身が跳ねる反動で固く結んだ口元が緩んでしまう。
手を止め気を落ち着けても、再開したらすぐその状態になってしまって、ほとんど付け焼刃だった。
学校でここまでするつもりなんてなかった。
さっさと制服を着直して、また誰かが来る前にこの場を立ち去るつもりだったのに――。
――きっと、気持ち良いから。
――きっと、きもちいいから。
――キット、キモチイイカラ。
呪詛のように纏わりつくその言葉に後ろ髪を引かれ、教卓の下から這い出した咲は好奇心のまま、その場で手を股間に伸ばしてしまった。
ダメなのに。学校でこんなことをしてはいけないと、分かっているのに。
(や……これ、凄、すぎ……)
全身を駆け抜けていく甘い快感が、身も心も蕩けさせていく。
やめなきゃという思いは残っているのに、この快楽に浸っていたい願望に押しのけられる。
そうして緩んだ理性で自制がきくはずもなく、もっと、もっと――と、指の動きが加速していく。
「はぁっ、むぅ……ん、ん、んぅっ……ぁふ……ぅっ」
意志だけでは声を抑えきれず、慌てて空いた手で口元を押さえた。
それでもなお、くぐもった声が漏れ出てしまう。
そんな状態になっても咲は手を止められない。
見つかるかも、見られるかも――、そんな背徳感が媚薬となって、咲の身体は異様に敏感になっていた。
これがあのお姉さんが見ていた世界で、露出行為をやる理由。
(あ……ダメ、これ。これ以上、は……)
四肢に力が入らない上に、震えが出てきた。
けれど、指の動きはまったく止まらない。止めたくない。
家で自慰の真似事しかやったことのない咲でも、何か、とても大きな感覚の波が近づいているのが分かる。
もう、やめないと。
この先の一線を越えてしまったら、もう忘れられなくなる。やめられなくなってしまう。
それこそ、あのお姉さんのように――。
(でも……。あと、ちょっとだけ……あと少し……なら……)
そこまで分かっていて、それでもこの気持ち良さを手放したくなかった。
声を上げないように、音を立てないように。そっと秘核に触れていれば、まだこの快感に浸っていられる。
あとほんの少し強い刺激で達してしまいそうな、そのギリギリの感覚が心地良くてたまらなかった。
けれど、その悦楽の時間は廊下からの足音によって終わりを告げられる。
「――っ!?」
完全に見回りのことを忘れていた咲は、再び訪れた危機にビク、と肩を震わせた。
そしてその反応が、もはや限界だった咲の身体にトドメを刺してしまう。
大きな快感の波に歓喜するように、全身がゾクゾクと打ち震えだす。
(ぁ……やだ、待って待って、今はダメ。すぐそこに……ダメ、もう……いっく――ぅっ!)
抑え込んできた反動か、一度溢れ出した快感は止めどなく咲に襲いかかり、全身を痙攣させる。
弛緩した身体から力が抜けていき、きつく結んでいた唇は緩んで、口元を塞いでいた手も離れてしまい――。
「ん――ふあぁぁっ!」
初めての絶頂に盛大な嬌声を上げてしまい、余韻に浸る間もなく戦慄が走る。
やばい――慌てて口を塞いだところで時既に遅く、声を聞きつけたのか足早に足音が近付いて来た。
「おい、今の何だ? 大丈夫か?」
教卓の下に潜りなおす余裕はなく、辛うじて入り口からは死角になる教卓の陰に身を隠すことができた。
けれど、もう逃げ場はない上、ここに人がいることはバレている。
(あの未来の先がこんなだなんて……!!)
大きく動こうものならすぐに見つかるので、迂闊に動けない――咲は震える手で、制服を抱き寄せた。
第11話ここまで
第一話
未来視できる少女が見た、自分の露出行為
第二話
教室で全裸露出プレイを楽しむ未来の咲
第三話
コートの下は全裸な露出狂のお姉さん
第四話
美人なお姉さんが露出する理由
第五話
露出狂への階段を登る少女
第六話
ついに下着を脱いでノーパンになる女子中学生
第七話
トイレで全裸露出する未来の自分からの露出のお誘い
第八話
露出狂なお姉さんへのほのかな憧れを胸に、教室で脱ぎ出す少女
第九話
校内で全裸露出する咲ちゃん14歳
第十話
超絶ピンチ!!露出プレイを楽しんでいたら、人が来たよ!
第十一話
女子中学生が教室でオナニー、そのまま絶頂へ!
第十二話
下半身を露出したままで教室で教師とご対面
第十三話
数年後、コートを羽織った露出狂の女がそこに
最終話