第14話 女子中学生の前で露出する未来の咲ちゃん
(……で、川辺まで来ちゃったけど)
咲は全裸の上に股下10cm程度のスプリングコート一枚で、風のそよぐ川辺に立つ。
ここで露出をするのは始めてだが、案外すんなりいくものだなと呆気に取られていた。
――まぁ、まだあと一つ、やることがあるのだけれど。
あの時、お姉さんはコートを木の枝にかけて、全裸歩行をしていた。
だから同じことをやるなら、そこまで同じでないと意味がない。
人がいないことはここに来るまで何度も確認したし、そもそもここは基本的に穴場。
改めて確認するようなことはせず、慣れたといっても多少は震える指でボタンをつまんだ。
(やっぱ、脱ぐ瞬間はドキドキする……)
シュル――と衣擦れの音を残して、咲はコートを脱ぎ去る。
それを放るように木の枝にかけて、茂みの中へと踏み入った。
「ん……はぁーーーーっ」
この解放感。
幾重にも折り重なる『常識』という鎖から解き放たれた感覚は、筆舌に尽くしがたい。
クセになるわけだ――あの時、お姉さんの言葉を必死に否定していた自分が恥ずかしかった。
――と。
カツーン――。
咲の足元に、小石が飛んできた。
突然のことにきょとんとする咲だが、その意味を遅れて理解し、慌てて太い幹の木に身を隠す。
まずは隠れることを優先したせいで茂みをかきわける音が漏れてしまったが――しかし見つかる場所に居続けるわけにはいかない。
まったく、誰だ小石を蹴ったのは。
犯人の顔でも見てやろうと小道に視線を送ると、その先には出身中学の制服に身を包んだショートカットの少女が、首を傾げていた。
茂みの中の”何か”を探そうと目を凝らしているようで、彼女に見つからないように咲は頭を引っ込める。
(やっばいなぁ……これ)
ギリギリ見つかりそうになったことはあっても、ここまで怪しまれる経験はあまり多くない。
強いて言えば、慣れないまま無茶しすぎた若き日の学校でのことくらい。
とはいえ、子どもに見つかる分にはまだ誤魔化しようがあるかもしれない。
(それにしても――)
ちらりと、もう一度少女の姿を捉える。
この距離で顔の細部は確認できないが、どことなく昔を思い出す背格好の少女だ。
散々見た未来の自分の姿と、どことなく被る。
「未来……か」
昔を懐かしんでぽつりとこぼした。
つられて、会えずじまいのお姉さんのことを思い出す。
お姉さんと出会ったのは、ちょうど今と似た状況。もっとも、立場が逆な気はするが――。
――と、今の状況も忘れて気がそれていた咲を叱咤するように、ゴォ、と今日一番の突風が吹き抜けた。
「うゎ……っ!」
風に煽られてよろけた咲は、咄嗟に声が出そうになって口を塞ぐ。
幸いなことに、寄りかかっていた木が盾になり、髪が乱暴にかき混ぜられる程度の被害に抑えられた。
だが、その突風に直接晒された少女はといえば――。
「きゃあ!! 何、何なの!?」
(ちょっと、あの子、大丈夫なの……?)
響いた悲鳴に咲が顔を出すと、少女は風で舞い上がった一枚布に覆われて身動きが取れなくなっていた。
その一枚布は、よりにもよって咲が木の枝に引っ掛けてきたはずのコート。
(うそ……でしょ!?)
唯一持ってきた衣服。
あれがなければ、咲は全裸で公園の荷物を回収に行かなければならなくなる。
ここから公園までの道のりには人通りの多い道路が横たわっていて、この時間帯は見つからずに通ることはできない。
いくらいろんな露出をやってきた咲でも、人前でなんて考えられなかった。
妄想はしたことがあったとしても――。
(や……やば……!!)
カチカチと歯を鳴らして、身体を震わせる。
全裸で身を隠すものを持たない咲と、コートを手に目を丸くしている少女。そして、公園に置いてきた荷物。
まるでこれでは、あの時のお姉さんみたいじゃ――。
『――あなたが私みたいになったら、きっとまた会えるよ』
絶体絶命の身にあって、ふと、あの時の言葉を思い出す。
お姉さんと全く同じ状況になってしまった焦りもあるが、同時に、奇妙な既視感を覚えていた。
子供の頃に何度も体験した――未来の姿の通りに実行していることに後から気付く、あの妙な感覚。
「――……」
もしかして、あのお姉さんって――。
気のせいとか、勘違いの類かもしれない。けれどもう、咲はそれしか考えられなかった。
お姉さんの最初のセリフを思い出しながら、ゴクリと喉を鳴らす。
こんな状態を人前に晒すのは、これが初めてだ。
気を落ち着けるため、大きく息を吸い込んでゆっくり静かに吐き出していく。
そして――咲は、唇を震わせながらそのセリフをなぞった。
「そこのキミ。悪いけどそのコート、持ってきてくれる?」
Fin
第一話
未来視できる少女が見た、自分の露出行為
第二話
教室で全裸露出プレイを楽しむ未来の咲
第三話
コートの下は全裸な露出狂のお姉さん
第四話
美人なお姉さんが露出する理由
第五話
露出狂への階段を登る少女
第六話
ついに下着を脱いでノーパンになる女子中学生
第七話
トイレで全裸露出する未来の自分からの露出のお誘い
第八話
露出狂なお姉さんへのほのかな憧れを胸に、教室で脱ぎ出す少女
第九話
校内で全裸露出する咲ちゃん14歳
第十話
超絶ピンチ!!露出プレイを楽しんでいたら、人が来たよ!
第十一話
女子中学生が教室でオナニー、そのまま絶頂へ!
第十二話
下半身を露出したままで教室で教師とご対面
第十三話
数年後、コートを羽織った露出狂の女がそこに
最終話