第六話
ドアの解錠音。
あの独特な金属音は、ただロックが解除されたという意味合い以外にも様々な予感や期待を抱かせる魔力があるような気がする。
現に、それまで借金の取立屋よろしくドアを叩き、俺の名前を連呼していた西島ヒナノを一撃で黙り込ませることができた。
俺はドアノブを捻り、ドアを指一本分ほど開け放った。
そうして手を離し、そそくさと部屋の奥へと退散する。
解錠音によって作り出された静寂の余韻に、西島ヒナノが子猫ほどの声で言う。
「牛島……様?」
ドアのロックが外され、そしてドアが開けられた――と思ったら、それ以降の動きはない。
開けられたと言っても、ネズミが這い出る隙間もないほどの隙間しか開けられていないドア。
本当ならそのドアを押し開けながら受取人が現れるはずよね? と西島ヒナノは困惑しているかもしれない。
俺は臆病なネズミのように部屋の奥で息を殺して様子を伺う。
部屋の電気は完全に消しているので、微妙なドアの隙間からでも明かりは漏れない。
ホラー映画などでこういう状況があったかと思う。
廃館のドアがひとりでに開き、まるで「中に入っておいで」と語りかけてくるような感じだ。
そんな演出をどれだけトレースできているかはわからない。
西島ヒナノが無謀にも部屋の中に入ってきてくれる確率は相当低いように思える。
ただでさえ受取人の部屋の中に入るのは禁止されているだろうし、居留守を使われて悪い印象しかない相手の部屋に踏み込むとは思えない。
唯一の好材料は、昨日の電話で「おもてなしをする」と伝えておいたことだ。
西島ヒナノがこれらを都合良くおもてなしの一環なのだと勘違いしてくれることを祈るしかなかった。
「牛島様-? あのぅ、出てきてもらえませんかー?
お荷物の確認を……お願いしたいのですが……」
答えない。
このまま悪質な悪戯と思われて警察を呼ばれても仕方なかった。
まぁ警察を呼ばれても今回は厳重注意くらいで済むと思うけれど。
「……牛島様?
出てきてくれませんか? あのぅ……困らせないでくださいよ……」
本当に警察を呼ばれたら、なんて言い訳をしようか?
クリスマスイブということで舞い上がってしまったんです申し訳ありません、と平謝りで切り抜けられるだろうか?
これが悪友の馬場健一郎だったら容姿の気色悪さもあって一筋縄ではいかなかったかもしれないが、俺は無害そうな優男の風貌だし、今では正社員として社会的身分もしっかりしている。
そんなこんなで逃げ口上を練り上げていると、玄関ドアがバタンと閉まる音がした。
「牛島様ぁ?
あの、それじゃ……お邪魔させてもらいますよ?
でも絶対に変なことはしないでくださいよ……?」
耳を疑った。
今、西島ヒナノは何て言った?
お邪魔させてもらう、だと?
では西島ヒナノは自分から、見ず知らずの男の部屋に上がり込んで来るつもりだということか?
ガサゴソと、たぶんブーツを脱いでいる音がする。
その後にフローリングの床を歩いてくる足音。
まっすぐに西島ヒナノは俺がいるリビングへと進んできていた。
「クラッカーとかはやめて下さいよ?
せっかくのお気遣いは有り難いのですが、あの、本当、こちらは配達業務なだけですので……」
西島ヒナノはホラー映画だとかお化け屋敷が大好物で、そういった場所には躊躇なく飛び込んでしまう性分なのだろうか?
身の危険も顧みず?
すっかり俺も年を取ったもんだ。
若い子の考えがさっぱりわからない。
「牛島様、本当に脅かすのは無しでお願いしますね。
驚いた拍子になにかあってはいけないので……」
クラッカーなんか準備してねぇよ?
どのタイミングで明かりを付けたらいいのかわからないまま、俺はとうとう声を発した。
「……えと、それじゃあ……西島さん?」
俺は部屋の照明を付けた。
明るくなった部屋には、いつもなら自分しかいないはずなのに、今日は小柄で可愛らしい金髪の女の子が場違いに立っていた。
少し気の強そうな目をしていて、男勝りというよりも、活発そうで生命力に満ちた感じで好印象だった。
「あ、ごめんね。
クラッカーはやめておくことにするよ。
なんていうか、下手な演出をしちゃって、滑った雰囲気になっちゃったけど……」
俺はとりあえず取り繕ってみた。
急に照明を付けられて眩しそうにしていた西島ヒナノだったが、俺が謝ってみせると態度を軟化させ、棘のない表情になった。
「いえ、せっかくのお気遣いなのにこちらこそ申し訳ありません。
あ、自己紹介が遅れました。
わたくし、ドリームプレゼンターの西島ヒナノです」
「電話連絡くれていた西島さんだよね。
今日はありがとう。
ちょっと準備に手間取ってしまって……いろいろごめんね。
さ、こちらどうぞ」
そう促したテーブルの上にはクリスマスケーキ。
「わぁ……すごい。
って、あ、すみません」
「いいよ、西島さんのために準備したものだからね」
テーブルの上には、ほどほどの大きさのホールケーキを準備していた。
デコレーションを増し増しに盛ってもらったので、トッピングフルのパフェのようになっていた。
「今日のイブの夜は友達と飲み明かすんでしょ?
このケーキ、持っていってみんなで食べるといいよ」
「え、そんなわけには……!」
「いいよ、遠慮してくれないで。
俺はそんなに甘い物が得意じゃないから、持っていって貰わないと捨てるだけになっちゃうんだよ」
「そ、そうですか……」
「でもせっかくだから、ここでちょっと一切れ食べて行ってくれると嬉しいな。俺のクリスマスイブに華を添えるつもりで」
ぺらぺらと舌の回る自分に感心しながら次の展開を練っていると、西島ヒナノは話の腰を折って、こう切り出してきた。
「せっかくのおもてなし、大変嬉しいのですが、その前に牛島様、お荷物のお受け取り……なんですが」
「あぁそうだよね、受領印を忘れちゃマズイもんね」
「いえ、そうではないんです……あの……」
「……ん?」
「その……ですね」
西島ヒナノは何か言い出しにくそうにしている。
俺は西島ヒナノが脇に抱えるプレゼント箱に目をやる。
無駄に大きい立方体の箱に、リボンが巻かれている。
「も、申し訳ありません!
配達途中で落としてしまい、内容物を破損させてしまったかもしれないんですっ。
もし破損が見つけられた際には、こちらでしっかりと保証させて頂きますので。
あの、まずは内容物の確認をお願いしたいと思います!」
土下座しかねない勢いで西島ヒナノは頭を下げた。
言われてみれば、プレゼント箱がぐっちゃりと凹んでいる。
こいつは落としたというよりも、落としてから踏んづけてしまった感じだった。
「いいよいいよ、そんなに気にしなくて。
でもまぁ、開けてだけは見ようか。
あの馬鹿がどんなプレゼントを贈ってきたのか、気になるっちゃ気になるしね」
第六話ここまで
第一話
可愛い少女の配達員
第二話
少女を睡眠薬で眠らせてレイプへ
第三話
ディルドゥやバイブ、ローターを点検しつつ、少女を待つ
第四話
可愛い女の子だからいじめたくなる
第五話
少女を密室に誘い込んでレイプへ
第六話
少女の弱みに付け込んで
第七話
恐喝して少女の唇を奪う
第八話
電話させながらアナルに指を挿入
第九話
アナルに指入れ。そして睡眠薬を
第十話
微睡む少女へクンニリングス
第十一話
少女のアナルを巨大ディルドゥに叩き込む
第十二話
アナルとクンニで同時責めで少女は絶頂に
第十三話
子宮を突き上げ、少女をイカせ続ける
第十四話
まるで3P。二穴プレイで少女に中出し、絶頂へ
最終話