第五話
再び玄関の呼び鈴が鳴る。
インターフォンカメラは玄関前に佇む西島ヒナノの姿を映し出していた。
俺宛へのクリスマスプレゼントを届けに来たと言うのに、逆に西島ヒナノの方がプレゼントを待ちきれない子供のように顔をうっすら上気させ、ドアが開くのを今か今かと待ち兼ねているのだった。
すぐにも俺へ荷物を引渡し、業務を完了させたい。
遊ぶ約束で一杯のクリスマスイブを満喫したい。
さぁさぁ一分一秒が勿体ないんですよ、と西島ヒナノの顔に書いてあるようだった。
そしてなにより、つい今さっき電話で連絡が取れたので、玄関のドアは開いて然るべきだと信じ込み、なんだか希望に満ちた目をしてしまっている。
「……絶対に応答に出ねぇぞ、俺は」
ぼそりと俺は呟く。
さきほどのように応答に出るタイミングを失してのことではない。
馬場健一郎と死に別れてのこの五年間、もはや悪事からは足を洗い、心に棲む悪魔とも袂を分かったつもりでいたのだが、今になって悪魔がまた囁き始めている。
部屋のテーブルには西島ヒナノに飲ませるつもりで準備した紅茶があり、すでに睡眠薬を溶かし込んでいたのだから、とっくに俺の心にゃ悪魔が闊歩していたのだ。
しばらく俺は応答しなかった。
カメラに映る西島ヒナノは目を白黒させ、特大の疑問符を頭に浮かべている様子だった。
まさか部屋を間違えてないかと念入りに表札を凝視し、間違えがないと思って再び呼び出しボタンを押す。
ピンポーンと間抜けな呼び鈴が鳴り響くが、もちろん居留守を使う。
確か犬だったか、カラスだったかを、ボタンを押せば餌が出てくる仕掛けに慣れされた後、突然ボタンを押しても餌が出てこなくしたらどんな反応をするか観察した実験があった。
当然、犬カラスは餌が出てこないことに戸惑い、何度もボタンを押し試し、仕掛けを揺さぶったりしていた。
遂には諦めて仕掛けの前を離れていく犬カラスの、何とも言えぬ敗北者然とした様子が嘲笑を誘ったものだ。
呼び出し鈴を、鳴らしても鳴らしても応答がないことに戸惑う西島ヒナノの様子は、その悪趣味な動物実験を彷彿とさせた。
いや、それどころか西島ヒナノの側は荷物を引き渡さなければ退勤できない条件が付くのだからなお悪い。
腹を空かせた犬カラスを餌の出る仕掛けと共に部屋に閉じ込め、しかし仕掛けからは餌が出ないという実験内容が相当だろう。
犬カラスならしびれを切らして仕掛けを破壊して餌を取り出そうとしたかもしれないが、さて西島ヒナノはどうするのだろうか?
コンコン、とドアをノックされた。
「ドリームプレゼンターの西島ですっ!
荷物をお届けに参りましたっ!」
少し大きめの声を上げる西島ヒナノ。
もちろん俺は黙ったままだ。
少しして再びドアが叩かれる。
「ドリームプレゼンターの西島ですーっっ!
荷物をっ、お届けにっ、参りましたーっっ!」
女子がカラオケでするような、媚びた感じで声を張り上げる西島ヒナノ。
ドアを叩く力がなかなか力強くなってきていた。
それでも無視する。
あくまで無視する。
小首を傾げて、これはどうしたことかとぐるり360度。
すると西島ヒナノは次の手に打って出た。
スマートフォンを手にすると、若い子らしく手慣れた様子でタッチパネルを操作していく。
どうせ部屋に閉じこもって黙って居留守を使っていれば大丈夫と余裕をかましていた俺は、自分の携帯が鳴り出してしまったことに舌打ちした。
きっと会社に連絡して引取人不在の旨を伝えるのだろうと思っていた。
だが俺に直接連絡を入れてくる可能性だってあったじゃないか。
せめてマナーモードにしていればいいものを、着信メロディが俺を嘲笑うようにけたたましく鳴り響いた。
素早く手に取り、スピーカー部を覆って音を殺したが、それでも安マンションのドアなど容易く飛び越して、着信メロディは西島ヒナノに届いたかもしれない。
俺の不安は的中し、西島ヒナノはドア越しに声をあげる。
「ドリームプレゼンターの西島ですっ!
牛島様、ご在宅ですよね?
お荷物、お届けに参りました!」
名前を叫んでくれるなんて個人情報の取扱方がなってないだろうと毒突きたいが、居留守がバレてそれどころではない。
本当なら素直にプレゼントを受け取り、感謝のつもりで軽いもてなしをさせてもらうつもりだった。
その飲料の中に睡眠薬を入れ、好き勝手に陵辱する予定だったが、思い付きの居留守という嫌がらせを実行してしまったことで全てが台無しだった。
「牛島さーんっ!」
名前を呼び、そしてドアをノックし続けてくれる西島ヒナノ。
加えて俺の携帯は鳴り続けている。
どうしたもんだろうか?
今からドアを開けて、素直に謝ればいいか?
謝罪の意も込めて部屋に上がらせてもてなしをする?
無意味に居留守の嫌がらせをしてくるような相手の部屋に上がる配達員がどこにいる?
居留守を使ったのは適当に笑いながらドアを開け、馬場健一郎のプレゼントを受領したサインをして、それで終わりにするしかないだろうか?
いや、それはダメだ。
俺は西島ヒナノをレイプしたい。
どうしてもレイプしたい。
人からどう思われようが知ったこっちゃない。
ともかく西島ヒナノを犯したい。
そのためのここ数日の段取りを、なんだかなぁって思い付きで土壇場でぶっ壊しておきながらも、まだ俺は西島ヒナノを陵辱したかった!
どうする?
どうする?
どうしたらいい?
鳴り止まぬ携帯の着信音と、ドアをノックする音。
「牛島さーんっ、ご在宅ですよね?
どうされましたか?
もしかすると緊急事態でしょうか?
救急車呼びましょうか?」
確かに緊急事態ではあった。
このまま応答がなければ救急車を呼びますよとは、居留守を使う俺への最後通告だろうか。
まるで俺の緊急事態を心配した様子のない西島ヒナノ。
業務内容につけ込んだ嫌がらせは慣れてるんですよ? と、そういうことだろうか。
心臓がドクドク鳴った。
心拍数が急激に高まり、手足が軽く震えてくる。
それでいて身体は冷え切り、とても寒い。
馬場健一郎と共に少女らを捕まえようとする寸前も、いつもこんなだったなと思い出す。
運転席には俺、後部座席には馬場。
ターゲッティングした少女の脇を車で通過する際、後部座席の馬場が飛び出し、少女を後ろから抱きかかえるようにして口を押さえる。
次に俺が運転席から飛び出し、少女の両脚を抱えると、そのまま車に押し込んでしまう。
二十秒も掛からぬ早業だった。
あの頃の最高にクールだった俺だったら、この状況をどう切り抜けた?
馬場健一郎と共に連続強姦魔として世間を震え上がらせていた俺だったら、どう状況を打開した?
「牛島さんっ! ご在宅ですよね!?
どうされましたか?
救急車、呼びますよ!?」
借金の取立屋ほどにドアを叩く西島ヒナノの声には、溢れんばかりの怒気を感じ取れた。
妙な思い付きのせいで俺は完全に追い詰められてしまっていた。
脂汗をダラダラ流して脳味噌コネコネの臨界状態の俺は――
――――
――――――
――ドアの鍵をカチャンと開けた。
第五話ここまで
第一話
可愛い少女の配達員
第二話
少女を睡眠薬で眠らせてレイプへ
第三話
ディルドゥやバイブ、ローターを点検しつつ、少女を待つ
第四話
可愛い女の子だからいじめたくなる
第五話
少女を密室に誘い込んでレイプへ
第六話
少女の弱みに付け込んで
第七話
恐喝して少女の唇を奪う
第八話
電話させながらアナルに指を挿入
第九話
アナルに指入れ。そして睡眠薬を
第十話
微睡む少女へクンニリングス
第十一話
少女のアナルを巨大ディルドゥに叩き込む
第十二話
アナルとクンニで同時責めで少女は絶頂に
第十三話
子宮を突き上げ、少女をイカせ続ける
第十四話
まるで3P。二穴プレイで少女に中出し、絶頂へ
最終話