―― 始まり ――
「う、うわぁぁぁぁあああっ!」
パジャマ姿の私は、唐突に目を覚ます。
ーーー・・・。まずい。
たぶんまずい、きっとまずい。おそらくまずい。
おそるおそる、パンツの中・・・お股の方に手を伸ばしてみる。
あっ・・・。
ぬるぬるして暖かい。少し粘つきもある。・・・。うん、これはやらかしちゃったなー。
ティッシュ、ティッシュー。と、ティッシュ箱から無造作に、3、4枚ほどちぎって、お股からこぼれる液体を拭き取る。
どうやら、すごいエッチな夢を見ていてたようだ。濡れてしまうほどだから、相当にエッチな夢だったんだろうなぁ。
「んーー・・・」
私は自分の部屋のベットにごろんと横になり、もう一度、夢の内容を、よーくよーーく思い出す。
イメージしろ! 感じるのだ!
もやぁ・・・。
なんとなく、見ていた夢を思い出す。
・・・。
どうやら、私がこんな状況で何かしていたようだ。
うん、すごいエッチな状態だったんだな。
何の夢だったかわからないけど、私はいい夢だったことの余韻を楽しむ。うへへーっ。
「お姉ちゃーん? 朝ごはんだよー」
ビクぅッ!
扉の向こうから声をかけられる。妹の桃子だ。
あわわっ! ズボン半脱ぎ状態で、パンツの中にティッシュを当てている姿を見られたりしたら、妹のももが私に発情してしまう!
「い、今いくよぉ~」
そう冷静さを振る舞い、私は急いでパンツを元に戻す。
パジャマ姿のままスリッパを履いて、1階のキッチンに向かった。
—
2040年、4月1日 日本、◯◯県。◯◯市
私の名前は「萌子」。19歳の女性。現在は無職。ニートじゃないのよ。
「今日は目玉焼きとウインナーだね! いっただっきまーす!」
白いご飯が今日もうまい!
はぐはぐはふはふ。
「相変わらず、お姉ちゃんはよく食べるね」
そう、私の妹に声をかけられる。
私の隣に座って、おいしそうにご飯をパクパク食べているのは、妹の桃子。
親は2人で旅行中のため、家事全般は妹のももが全部こなしてくれている。
私に似ず、しっかりものだなぁと、妹のももにほれほれする。妹のももは、私に見られるとうれしそうに顔を赤らめて、お口をもぐもぐしている。
「でも、お姉ちゃんまで、家を出て行っちゃうとなると、私、寂しいなぁ~・・・」
「ふっ、ももよ。私はもう旅立ちの日が来てしまったのだ」
ワイルドに決めてみる。
「やっぱり、行かないでほしいなぁー・・・」
ももはそんな私を無視して、両手をツンツンしながら、ちらっちらっとこちらを見てくる。かわいい。
だが、子はいつか家を出ていくものなのだ、あきらめてくれ。ももぉーーっ!
「そう言われても・・・、ほら。会おうと思えば、またいつでも会えるから、ね」
「う、うん・・・」
「それじゃー家のことはよろしくね、もも!」
「はぁーい」
私は残りのご飯をぺろっと平らげて、出かける準備を行う。
—
さて、私は今日から「快楽機姦研究所」という怪しい名前の施設で、住み込みの形でエッチなお仕事(?)をすることになってる。
名前の通り、エッチなことをする機械を研究しているところらしい。普通の女性なら嫌がるかもしれないけれど、まぁ・・・私は、比較的エッチなことが好きなタイプなので、あまり気にしていない。
それどころか、女子力アップ、超高給、楽しいエッチ、安全性もしっかり。と、すごく好条件だったりもする。
なお、これは親の同意済みである。うちの親、ほんっとフリーダムだよなぁとも思う。自由にさせてくれることは、ありがたいけどね。
—
午後。
コンビニで今日の夕食を買い済ませた後、出かける準備を終える。
・・・約束の時間だ。
私は妹に再度別れの言葉を述べた後、軽いバッグを掲げ、靴を履いて外にでる。
これからお泊まりする施設では、生活用品は支給されるため、荷物は基本不要らしい。これといって必要なものはないので、軽いバック1つだけになってしまった。
だけど、出かける前は、忘れ事がないか少し不安なので、必要な物リストを改めて見直す。
・・・うん。問題ない! バッチリだ。さぁいこう!
がちゃり。
玄関を開けて、外にでる。
外に出た瞬間、ふわっと優しい風が吹く。冬があけてから一月、気温も穏やかになり心地よい。
うーん。いい天気だ。
でも春は花粉のせいで、ちょっと苦手なんだよな。なははっ。・・・はっ・・・はっ・・・。
・・・。
「・・・ファクション! 」
盛大に一度くしゃみをする。花粉のせいだったらやだなぁ・・・。
ポケットティッシュでちーんと鼻をかみ、気を取り直す。
さぁ改めて出発だー! おー!
てくてくてく。
私が、家の門から外に出ると、見慣れない黒い車が、いかにも待ち合わせていました。と行った感じで待機していた。
ガチャ。
運転席から黒服の男の人が、顔を出す。
男の人はやや身長が高く、スタイリッシュな体型をしており、サングラスをつけている。
素人の私でもわかる! この人、めっちゃ手慣れている感じがする。それはもう、戦闘したら何人もフルボッコできそうなぐらいに。いや、多対一でそれは言い過ぎか。
「萌子様で間違いありませんね?」
そんな風に男の人を眺めていた時、声をかけられる。
「は、はい!」
「私は快楽期間研究所まで萌子様を案内する、運転手の賢(まさる)と申します。まずは、助手席にお乗り下さい」
そう言われたので、あやしー車に、ひょいっと乗る。
男も運転席の方に戻る。
あ、車を動かすんだから、シートベルトもしなくちゃね。
「シートベルトはされましたか?」
「はい」
「書類に目を通されましたか? 」
まるで子供を心配する執事のように、黒服の男性は、私に尋ねてくる。・・・意外とこの人優しいかも。サングラスのせいで表情は読み取れないけど。
「はい、ひと通り確認した上で、同意済です」
「夕食も、持参されましたか?」
「はい、問題ありません」
すると、納得したかのような態度をとり、
「それでは、出発します」
エンジンをふかせて車を走らせ、移動を開始する。
—
・・・。運転中、特別なことは何もなかった。
特に会話することもなく、ただ普通に音楽プレイヤーで好きな曲を聴いていた。
・・・。
「施設の近くまで来ましたよ。もうすぐ到着です」
車に乗ってから1時間ぐらいだろうかな~?
「左方向に見えるのが、例の施設です」
おっ! どれどれ~っ。
「でかっ!」
快楽機姦研究所という施設の大きさに驚いて、思わず声を漏らしてしまった。
「あれ、全部ですか?」
「はい、あれ全部です」
「ほぇー・・・」
正直、驚きを隠せない。そのぐらいに大きいというか、広いというか・・・。何階建てだろうか? 高さも中々である。
私は車の窓から、今日からお世話になる場所をじっくりと眺める。大きな期待と小さな不安を持ちながら、施設の入り口まで移動する・・・。
—
入り口の広場あたりで、車が停止する。
がちゃ。
私だけ、車からひょこっと降りる。
「ううーーん」
のびのび~。車に乗っている最中は、あまり体を動かせなかったから、少し体が痛い。血行をよくせねば。
私は少し軽いストレッチを行う。
「萌子様。施設に入りましたら、まずは左手にある受付の方にお話下さい。以降、受付の方がご案内させていただきます」
「あ、はい」
「それでは、お楽しみ下さいませ。萌子様」
黒服の男はニコッと微笑むと、車を移動させてその場を去る。
さて・・・。私も受付に行かなくちゃ。