―― 快眠ベッドでお休み ――
部屋に帰った後は、お風呂だ。
昨日と同じで、至って普通のお風呂だったので、感想は省略。
しかし、今日あったこともすごかったな―。
私は新しい浴衣に着替えてから大きなソファーで横になり、ゴロゴロしながら今日あった事を色々と思い返してみる。
うーん。なんか一部記憶が吹っ飛んでいるよ~な気もするけど・・・気にしないことにしよう。
・・・ふわわ~っ。
のんびりしたら、何だか眠くなってきてしまった。
いつもより寝る時間が早い気がするけど・・・。素直に寝るのがいいかな。
んーっと。
もうそろそろ寝ようかなと思って、言われた通り、呼び出しのボタンを押す。
パタパタパタ。
5分後、茜さんが召還される。
「はーい、萌子ちゃん。お待たせー。もう寝るのかな?」
「はいー」
ふぁーあ。いかん、あくびが出てしまった。
「それじゃあ、その浴衣をとって裸になった後、こっちに来てね」
「えっ!? なぜに!?」
「ここにベットがあるでしょ。これはね。機姦名「快眠ベッド」というのだけれど、萌子ちゃんが寝ている間に、色々と体のメンテナンスを手伝ってくれるのよ。だから、基本的には、裸じゃないとだめなのよー」
「快眠なのに「機姦」なんですか?」
茜さんがなんだかとんでもないことを言っているが、それとは別に疑問に思ったことを聞いてみる。
「エッチに関連している機械だったら、とりあえず機姦って名前が付けられるのよ」
そっか。機姦という名前が付いていても、全てがエッチな物・・・ってわけでもないんだな。
「というわけで、脱いでね」
そういえば、そうだったー! 脱ぐんだったー!
「い、いやーーー」
急に茜さんに私を脱がそうと手を伸ばしてきたので、私は女性として当然の反応を示す。
相変わらず、なにをするんだー! この人はー!
「いやぁ、脱がないと、先に進まないから」
茜さんは、手をわきわきと動かしながら私に近寄らせる。いや、自分で脱げますから! 自分で脱げますからっ!
「さぁ、ぱぱっと脱いじゃって」
そう言われたので、私は渋々と浴衣に手を伸ばす。どうせこういうことに拒否権はないんだー。ぷいっ。
浴衣を肩からゆっくりおろしていく。
はらり。
腰巻きがほどけ、私の下着が露呈する。
浴衣を脱いだ後は、顔を赤くして目をそらしながら、下着を外す。裸の状態になる。
さっきの測定の時と違い、茜さんは、私の方をじっくり眺めている。
・・・なぜだろうか? 人にみられると、慣れていたはずなのにやっぱり恥ずかしくなってしまう。
「いいねぇいいねぇ」
なんだか、おやぢっぽいことも言ってるし。
全裸で恥ずかしい状態の私を見て、喜んでいる様にしか見えない。
もーっ! この人、こういう変な趣味があるのかなぁ・・・
「適応力、高いんじゃなかったの?」
「さっきはさっき、今は今ですー!」
意味不明な弁解を用いる。
裸はまだそこまで慣れていないのかもしれないし、雰囲気も恥ずかしさを増しているのだろう。
「まだまだ恥ずかしがり屋さんってことね。さ、ベットで体を横にしてみて」
う、うーん。相変わらず向こうのペースだ。
そう思いながら、私はとりあえず、足を快眠マシンのベットの部分にのせる。
もふふっっ!
・・・!?
足がベットに飲み込まれる。
うわ、なにこれ、気持ちがいい。
このベット、すっごいもふもふだ。
少し感動しながら、私は寝る体制を整える。
ずぼっ
今度は手が、もふもふベッドに吸い込まれる。
もふもふすぎて体が支えきれず、そのまま、私の体全体が快眠ベッドに飲み込まれてしまう。
うわー。
全身をもふもふがおそいかかる。
こ、これはぁーーー。天国だぁーーー。
もふフェチの私には、たまらなーい。服を着ていないため、全身でそのもふもふっぷりを堪能できる。
えへ、えへへへへ・・・っ。
すごーく、すごーーく、心地よい。
だーめーだー。
私はあまりにも心地よいせいで、目がとろんっとなって、自分の置かれている状況を忘れてしまう。
あーー、いいよぉ。もっふもふだよぉ・・・。
「どぉ、気持ちいい?」
「さっいこっうですぅ~~~」
まさにヘヴン状態! さっきの全裸になる恥ずかしさは、どこかに投げ捨ててしまった。
「それじゃ、萌子ちゃん。おやすみなさい」
茜さんがそう言うと・・・
ウィーーン。がちゃん!
何やら、透明な壁が弧を描く様に現れ、私は快眠ベットに閉じこめてしまう。
えっ、ちょっ、なにしてんの!?
もしかして、私、閉じこめられてる!?
不安になり起きあがろうとする。ベッドにもふられて、それが上手くできない。もふっ。
茜さんは透明な壁の向こうから、にこやかな笑顔でバイバーイと手を振って、その場から立ち去る。
まってー! 怖いよー! もふられて動けないよぉ~!
私の不安が増す。
まるで悪の組織に捕まってしまったお姉ちゃんが、改造手術でもされてしまう様なシチュエーションみたいだ。
しかし、そんな私の不安は予定済みというべきか、何ともいえない不思議な音楽が流れ込んでくる。
おや、なんか懐かしい曲だ。どこかで聞いたような気がするんだけど、知らないような・・・。心地よくなる良い曲だなぁ。
音楽を聴いていたら、先ほどの不安はどこかに飛んで言ってしまった。そして、気持ちよさも兼ねて、ふにゃーっと目にとろみが増してくる。
もふもふと音楽のコンボで、私の意識が削がれていく。
も、もしや・・・この音楽、洗脳タイプのよぅ・・・な・・・。
・・・。
・・・。
ぐーすかぴー。
—
翌日。
・・・。
ふにゃ、もう朝か。
私は目を覚ます。
なんかとても目覚めがよい。体の調子もいつもより良い気がする。これが快眠ベッドの効力だというのならすごい。まさに快眠の名に恥じぬ効力だ。
・・・さて、この施設に来て3日目。今日から私は色々とエッチな実験のテスターのお仕事をするらしい。
もうそろそろ起きなければ・・・。
もふっ。
体がもふもに飲み込まれて、上手く起きあがれない。
・・・。
もう一眠りしちゃおかっな~。
「ほーら、起きなさーい」
茜さんが小型タブレットをタッチして、ベットに命令を出す。・・・いつの間に、この部屋にいたのだろうか?
ウィーン。
ベットの半分が起きあがる。
私の体も起こされる。あ、これなら何とか起きあがれそうだ。
「おはよー、萌子ちゃん。昨日はぐっすり眠れたかしら?」
「おはようございます。それはもう快眠でした!」
「それはよかったわ。・・・さぁ、朝の支度があるから着替えちゃってね。下着は新しいのを用意したから、こっちを着てね」
「はーい」
私はベッドから起きあがり、茜さんから支給されたパンツを履こうとする。その最中、自分のお股を見て重要なことに気がつく。
あ、あああ、あれ? 大切なところの周りにある毛が、その・・・な、なくなっているんですけど・・・。
もしや、私が寝ている間に、茜さんに何かされたのか!?
「ああ、それね。快眠ベッドの機能のひとつよー。寝ているときにアソコの毛を除去してツルツルにしてくれるのよー」
ぽかーんと口を開けたまま、説明を聞き入れる。
・・・。そ、そういえばコイツ「機姦」だったな。
つるぺたにされてしまった私の大切なところを見て、少し恥ずかしくなる。
あ、甘く見ていた・・・。この名前が付いていたら、なんらかのいかがわし機能を兼ね備えているのだろう。そう認識を改める。
「他にも、萌子ちゃんを綺麗にしてくれてたりもするよ」
「・・・ん?」
そういわれて、私は、自分の肌を触ってみる。
すべすべだ!
髪もさわる。
しなやかだ!
このベット、美容エステまでこなしているのか!?
私の魅力が1.3倍になっていることを自覚できる。これはとてもうれしい。
・・・残念なことにうれしいことが同時に発生して、何ともいえない気持ちになる。
「考えごとをしていると、朝食、冷めちゃうわよー?」
「あ、食べます。いただきますー」
基本、私は食べ物に弱い。すぐ釣られてしまう。
というわけで、急いで下着を着て浴衣姿になった後、私は朝食をおいしくいただくことにした。
—
ご飯を食べながら、茜さんとのんびり雑談する。
食後は歯磨き。虫歯は怖いからね。
トイレは何故か行く気になれなかった。・・・おかしいな。私、朝は必ず行くタイプなんだけど、今日は出ないと思う。
私が一通り行動を終えると、茜さんが私に話しかけてくる。
「今日の夜から、萌子ちゃんのお仕事が本格的に始まるわよ。知ってた?」
「は、はい・・・っ!」
資料の記述で、3日目の夜から数日ごとに、エッチな実験のテスターのお仕事があることを思い出す。そうだ。今日から私は、この快楽機姦研究所でエッチなお仕事をしていくのだ・・・!
「覚悟はいいかな~」
ほんと、この人、私をいたぶるのが好きだな・・・。
「だ、大丈夫です!」
「ふふっ。その意気込みなら、問題なさそうね」
茜さんは笑顔で、ぽんぽんと私の頭を優しくたたく。あ、なんかこれ、いいかも・・・。
「さてさて、それとは別に、今日から萌子ちゃんにエッチな調教器具を取り付けちゃうわよ~」
「・・・。ええーーっ!?」
私は驚きの声を上げる。