第四話
男達に列車が占拠された時、私は頭を抱えて身を低め、バーカウンターの裏手に逃げ込んでいた。
銃を持った男達は乗客乗務員に一カ所に集まるように指示を出したのだが、バーカウンターの裏手に隠れた私はその場に留まった。
カウンターにいた乗務員のお姉さんが、足下でうずくまる私に目配せして、ここに留まるように言ってくれたのだ。
恐怖によって震えが止まらない私と違い、乗務員のお姉さんの態度にはどことなく余裕があるように見えた。
「よぅし、全員俺たちの言うことを聞けよ。
言うことを聞いてるうちは殺したりしねぇからな。
わかってると思うが、死んだら窓から投げ捨ててやるだけだからな」
銃器に慣れた様子の男が言う。
夜行列車の窓から投げ捨てられたりしたら、それは行方不明者として処理されるだけだという意味だ。
事前に銃殺されていようといまいが、夜行列車から捨てられた人間を誰も探そうとなんかするわけがない。
たとえ夜が明け、運良く誰かに見つかったとしても誰も気に掛けない。死んでいたとしても、生きていたとしても、だ。
「そんで野郎どもはいらねぇから、そっち端に集まれや」
家畜を扱うように銃口を振りかざして、男性客と男性乗務員を食堂車内の遠い端に集める。
「お前らはここでじっとしてろ。
変な気を起こすなよ、見張りに持たせてるのは散弾銃だ」
「なんだよ、お前らばかりで独り占めか?
俺たちも混ぜてくれりゃ見張りなんていらねぇだろう」
「まぁそうなんだろうがな、たまに正義漢がいるとめんどくせぇんだよ。
女の中に恋人や女房だって女がいる奴もいるだろう?
そいつらが邪魔してくれるもんだから、先に殺しちまうことになるが、どうする?」
銃口を向けられた男達はそこで押し黙った。
私と三黑江白奈に声を掛けた老夫婦などは、食堂車が酒場に変わった頃に席を立っていたので巻き込まれていないが、若い夫婦や恋人などはまだ残っていた。
「まぁ俺たちが先に味見させてもらうが、その後は好きにしろや」
そう言い置いて、銃を構えた男達は女の元に戻ってくる。
男達の人数は見張り役も含めて6人。
この食堂車には乗客乗務員合わせて20人ほどいたので、数の上では反撃に出ることは可能だったかもしれない。
しかし彼らは全員が銃を携えていたし、一人一人の肉体も大きく、喧嘩慣れしているような気がする。
抗っても無傷で勝てる可能性は低いと思われた。
緊張して背筋に冷たい汗が流れる。
だが、捕らえられた男性乗務員、女性乗務員がそれぞれ同性の周囲に言って聞かせる。
「彼らの言うことに従っていれば、殺されることはありません。
素直に従いましょう」
私にカウンター裏に隠れているように指示した乗務員のお姉さんは、少しも取り乱した様子がない。
むしろその動じぬ対応は、銃を構えた男達と裏で通じているかのようだった。
「さすがにお前はわかっているじゃねぇか」
乗務員のお姉さんの肩に腕を回しながら、男達は快活に笑う。
明らかに男達のことを軽蔑している様子ながら、乗務員のお姉さんは男の腕を振り払えずにいる。
「よぅしよぅし、まずはお前から可愛がってやるよ」
すると男の腕がお姉さんのスカートの中に潜り込んだ。
「くぅ……」
腰を折って逃げようとするお姉さん。
けれど男の腕は力強く、執拗にお姉さんの恥部を求めた。
「ぁっ……やめてっ…あっ……ぅっん……」
「へへへ……お前の本性はわかりきってるんだぜぇ、ほぅら、ほぅら!」
「あぅぅ゛! ダメだめだめぇ、あぁっ、だめぇ」
影に隠れた私は、今目の前で行われる事が何なのか、すぐには理解できないでいた。
男達が銃を発砲しながら突入してきた時、私がまず思ったのは、外国人部隊の武装占拠だ。
人質にされた人間は、少しでも逆らえば即射殺。
多くの人質は管理が面倒だから、人質の大半は早いうちに間引きされる。
人質を盾に政府に無理難題を要求した後で人質を惨殺し、政府は人民の命を軽視したと声高に叫ぶのだ。
だから私は今日この場で死ぬんだと諦めて震えていた。
心の中で神に祈り、母に助けを求めていた。
どうにかして生き延びたい生き延びたい生き延びたいと思っていた。
それなのに占拠された夜行列車の中の雰囲気は、私が思っていたものと少し違う。
銃口を向けられて脅える女性陣はまだいいとして、端っこに追いやられた男性陣はどうだ。
脅えるどころか、自分たちも仲間に入れろと不満を溢している。
今にも誰かの命が消されかねない緊急事態と脅え震えているのが、場違いなくらいに、どうも夜行列車内の雰囲気は生温い。
そしてとどめに、乗務員のお姉さんの嬌声だ。
「っぅあ、ん……やめ、て! ひとが……見てる……っ」
「なんだよ、人前でヤられるの、初めてじゃないくせによ」
「で、も……っ、はずか……しぃ……」
「恥ずかしがってる割りには濡れてきてるじゃねぇか!」
男の腕はお姉さんの恥部を掬い上げるように奥へ進み、それと共にお姉さんの反応が重苦しくなった。
きっと男の手が下着の中に入ったのだと思い、私は生唾を飲み込んだ。
「ぐじょぐじょに濡らしやがって、この淫乱な雌豚めっ!
おまんこぐじょぐじょ鳴らす音をみんなに聞いてもらうんだな」
「やめっ! あぁっ……あっ……だめ、やめてっ!」
男の手が小刻みに素早く動き出した。
するとお姉さんは上半身に力が入らなくなったのか、大きく後ろに仰け反った。
男はお姉さんの腰を抱きかかえ、さらに手の動きを早くする。
お姉さんが自分から股を開いていった。
「はぅぁぁっっっぁぁっ! だめだめだめっっぇぇっ!」
艶々の声と、淫靡な水音が夜汽車に響く。
「あ゛あ゛っぅ! ダメ、ダメぇっ!! イクっ! イッちゃうぅっっ!!」
お姉さんが大声をあげて、見せつけるように全身をガクガクと震わせて絶頂に達した。
それを見届けると、男の手の動きは止まり、スカートの中から引き抜かれた。
「ほぅら、お前ら、よぉく見てやれや」
男が今し方お姉さんのスカートの中から引き抜いた手を周囲に翳す。
男の手からはお姉さんの愛液と思われる液体がぽたぽたと滴り落ちていた。
あんなに濡れていたのでは、お姉さんはよほど感じていたに違いない。
私だって手淫に夢中になったことがあるが、どれほど続けても、あんなに愛液を溢したことなんてない。
あの愛液の量を、この短時間で漏らしてしまうのは、よほど男の手マンが気持ち良かったのだろう。
なんだろうか、私は愛液を滴らせる男の手に、しばらく目が釘付けになってしまっていた。
身体が熱くなっていた。
しかし、そこで私はふと気付いた。
私と同じように男の手を見ていた三黑江白奈と目が合ったのだ。
視線を交えたところで、銃を携えた男相手にできることはなにもないのだが、なにかどうかしなくちゃいけないと思いつつ、とにかく視線で訴え続けた。
たぶん、視線を交差させていたのは数秒だったと思う。
最後に三黑江白奈は私を見て、小さく微笑んだ。
男達に気付かれないように、細心の注意を払ったほほえみ。
涙をたっぷりと溜めた目で私を見つめながら、三黑江白奈は目を閉じた。
頬に涙を伝わらせた三黑江白奈は、もう二度と私の方を見ることはなかった。
制服姿の頃にそうであったように、真っ黒な車窓の向こうを見たまま、その圧倒的な美貌を携えて、お人形のように動かなくなった。
私にまで危険が及ばないようにという三黑江白奈の気遣いを知りながらも、その儚げな横顔を見ていると、先ほどまで外国人部隊が云々と、命を惜しんでいた自分が恥ずかしくなる。
国もまつりごとも忘れて、ただその美しさに見とれたい。
傾国の美女とは三黑江白奈をおいて、他にはおるまい。
身体がどんどん熱くなってくる。
なにせ壊してしまいたいと思うほど大好きな三黑江白奈が、今にも壊されてしまいかねない状況にいるのだから。
私は影に隠れて、まずは自分の止まらない笑みを殺した。
第四話ここまで
第一話
孤高の美少女が転校生としてやってきて
第二話
同性愛の花園へ。しかしその願いは叶わずに
第三話
同性愛の少女達を引き裂く魔の手
第四話
大勢の乗客の前で手マンされ潮吹き絶頂
第五話
止まらない潮吹き、大勢の前で犯されて中出しプレイ
第六話
少女の危機に、嗜虐心によるオナニーが止められない
第七話
美少女を人前で全裸にひん剥き、大股開きのクンニリングス
第八話
醜男に犯される美少女の処女喪失
最終話