第6話 オナニーを見せ合う男女
○原稿用紙に刻まれる自慰の調べ
カーキ色したチノパンが、ヒザ下まで脱ぎ落されていた。
男物の下着も引きずり下されていた。
男らしい毛深さで、男らしい筋肉質な太腿と下腹を露わにさせて、吾朗が膝立ちのポーズを取っている。
描きかけの原稿用紙を脇に追いやると、剛直した肉棒に手を添えて、ベッド上の涼花に目を向けている。
「あぁ、はぅ……吾朗ちゃんのぉ、とっても……くぅん、大きくなってる……」
「涼花のオナニーを見てたら、俺……もう、我慢出来なくなって……いいだろ?」
「そ、そうよね……はふぅ、うれしい……」
吾朗は決まり悪そうに頭を掻いた。
利き腕に慎重な運びでペニスを扱かせながら、顔を綻ばせて悦ぶ涼花と目と目を合わせる。
続けて、愛液がヌラヌラと光る彼女の股間部分を注視した。
「いいよ、吾朗ちゃん。涼花のアソコ……お、オマ○コ、もっと見てぇ、はあぁ……観察してぇ……」
オナニーをする。
男でいうところのセンズリをする。
けれども小説の取材も兼ねている。
涼花は、吾朗の目に複雑な色をした視線を感じた。
そして歓喜したような鼻声で女性器を口にすると、そこに這わせた指を僅かにスライドさせる。
男の目に見せびらかすように、亀裂のサイドから指先を沈めるのだった。
「あぁ、んふぅ……感じるぅ、恥ずかしいお肉がぁ、グチュグチュしてぇ……ねぇ、吾朗ちゃんにも見えてるでしょ?」
「あ、あぁ……涼花の丸見えオマ○コから、トロトロってエッチな汁が溢れるのも全部ばっちりだ」
「嫌ぁんっ、そんな言い方……ふぅぅ、でもホントかもぉ」
中指だけに遊ばせていた膣口へ、涼花は人差し指も向かわせた。
手のひらで割れ目の外陰部を押さえ込みながら、粟粒の浮いた柔肉を曝け出させると、期待するようにヒク付きを繰り返す女の孔への挿入をしてみせる。
「あくふぅ、熱いのぉ……涼花のオマ○コ、蕩けそうなくらいに疼いちゃうのぉ」
2本の指は付け根まで沈んでいた。
男のペニスを受け入れるのが仕事の膣腔に、捩り合された指のペニスを突っ込ませて、涼花が飾りっ気のない嬌声を吐いた。
これが女の自慰だというように、膣肉に絡ませたばかりの指を激しく抽送させていく。
「ハァ、ハァ……『繊細で柔らかな女の裂け目から、まるで潤滑油のように淫らな液体が溢れ出ている』フゥ、ハァ……『りょうかの指がヴァギナを掻き回すたびにそれが、止め処なく洪水のように腿の根元へと垂れ落ち、洗い立てのシーツにも黒い沁みを記した』」
女の前で男の自慰を見せつけながら、それでもスケベな小説は綴られていく。
400字詰めの原稿用紙から男の脳内へと転移し、乱れていく涼花とりょうかの様をリアルに刻みこんでいくのだ。
「はうぅっ、んん……いいぃ、気持ちいいぃっ! 吾朗ちゃんのオチ○チンもぉ、感じてるよね? あぁ、はあぁぁっっ!」
「涼花ぁっ、感じてるに決まってるだろ? 目の前に、こんなグチョグチョのオマ○コがあるのに、ふうっ……見ろよ、俺の息子を」
涼花が喘ぎの合間に呼びかけていた。
怒張した男の肉棒に、ちょっぴり妬んだ顔をして見せる。
そして、吾朗が応じた。
脳内で進める官能の著作を一時中断させると、膝立ちだった足を伸ばした。
涼花の真ん前で仁王立ちしてみせ、脈動するペニスを太い指の腹で前後に激しくこすり上げていた。
「うれしい、ひはぁっ……わたしがエッチしてるのに、吾朗ちゃんも感じてぇ……んあぁっ、もっと、もっとぉ……弄ってあげるぅ」
カーテンで閉じられた薄暗い一室から、りょうかが消えた。
男の一物を独り占めした涼花が、指の動きを加速させる。
つい途切れがちだった胸のふくらみを、親指から小指まで5本全ての指で鷲掴みさせては、捏ねるように揉みあげていく。
純白の餅肌が汗にまみれて輝いて、指の関節が折れ曲がるたびに白からピンク色へと、艶やかな女心を映えさせていく。
「はあぁっ、ダメぇ……おっぱいもぉ、気持ちいい……キュンキュンしてぇ、ひゃぁぁっっ!」
涼花の背中が、ズズっと音を立てて落下した。
壁に垂直だった上半身が斜めにされて、自然と腰が押し出されていく。
バストの愛撫に負けじと、張り合うように律動するもう一方の指達を乗せたまま、ムンと匂い立つ女の狭間を吾朗の眼前で露わにさせた。
「なぁ、涼花。最後だけ挿れても……いいだろう?」
男の性本能が、涼花が演じる本気のオナニーに絆されていた。
ゴワゴワとした指の腹を相手にする自家発電よりも、水あめをまぶしたようにテカル恥肉の狭間に愛されたい。
スラリとした指のペニスを追いたてて、黒光りする男の怒張で、蕩けきった膣肉を思う存分に堪能したい。
「ダメよ、吾朗ちゃん。ひはぁ、オナニーで……オマ○コとぉ、オチ○チンを弄ってぇ、ああぁぁ……気持ちよく絶頂するのぉっ!」
「はあぁ、そ……そうだよな……」
けれども沸騰しそうな吾朗の情欲は、肝心の涼花によって拒絶された。
天真爛漫であどけなさに満ち溢れた美少女の、痴女のようなセリフに足蹴にされたのだ。
「一緒よぉ、吾朗ちゃん……はあぁ、んふぁっ……せえのでぇ、気持ちよく……いぃ、いっしょにね」
その涼花が呼びかけてきた。
まもなく昇り詰める女の指使いで、膣肉を抉るように刺激しながら。
こっそりと探り当てていた、Gスポットと呼ばれる過敏な性感帯を爪先で引っ掻かせながら。
そして、快感の頂点が目前に迫ったのだろう。
涼花は、投げ出していた両足をマットの上で踏ん張らせた。
ずり落ちていた背中を、再度壁に強く押し当てた。
ズボズボと指の束を花弁に突き立てながら、腰を浮かせた。
第6話 オナニーを見せ合う男女 ここまで
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