第7話 触手に捕らえられた少女の行方
○触手現る2
脚を閉じようと何度も試みてみた。
脚に絡みついた触手を、腕を伸ばして払いのけようとしたがビクともしなかった。
それもそのはず、触手は脚に絡み付いただけではなく、吸盤を密着させて離れなくしてしまっていた。
「いや~~~!何をしようというの?や、変なことやめてよ!」
(シュルシュルシュルシュル~~~!)
新たな別の触手が突然球の乳房を襲って来た。
あっという間に乳房に吸盤がくっつき、グルグルと巻きついた。
脚に絡みついた触手と同様に、球から離れようとはしなかった。
引っ張っても、押しても、叩いても、すべて徒労に終わった。
「いや~~~っ!エッチ~~~!やめて~~~!」
球は恐怖におののきながら怪物を見つめた。
そこにはじっとこちらを見据え、球の様子を伺っている怪物の冷酷な眼差しがあった。
眼孔鋭くこちらを睨み、瞳は爛々と輝いている。
球は今自分に降りかかっている凌辱劇がすべて夢であって欲しいと願った。
怪物の目を見ていると、全く瞬きをしないことが分かった。
瞬きをしないまぶたというのは実に不気味だ。
まもなく四肢や胴体を取り巻く触手とは違う、別の細い触手が活動を開始した。
そのうち2本は、先端がアルファベットのUの字のようになっている。
また1本の触手は先端が尖っている。
いずれも人間の舌のように柔らかそうに見える。
3本の細い触手は滑らかな動きで球の股間に伸びていった。
球が身に着けているものはたった1枚の布切れだけであった。
その頃、謙太は悲愴な表情で球を探していた。
博之とミキも大声を張り上げて探した。
「お~い、球~!どこに行ったんだ~!まさか、波にさらわれたのでは!?」
「それはないよ。今日は全然波なんて無いもの。きっと悪いヤツラに誘拐されたに違いない。警察へ行こう!」
「海の上で誘拐なんて考えられないよ」
「でも他に考えられないもの」
博之は狼狽する謙太とは違って少しは冷静さがあった。
博之の言うとおり、この天候だと高波にさらわれたとは考えにくい。
ミキはわんわん泣きじゃくっている。
「球っ!!どこ行ったの・・・死んじゃいや~!!」
「縁起でもないことを言うなよ。きっと帰って来るって」
4人は取り合えず一旦浜に戻り、警察へ捜索を依頼することにした。
謙太はいつまでも沖合いを見つめ、球が見つかるまで海上を探し続けるといって聞かなかったが、結局は冷静な博之の意見に従うことになった。
後髪を引かれる思いでゴムボートは浜辺へ戻った。
(球・・・生きててくれ・・・球・・・)
謙太は瞳を閉じ球が無事であることを祈った。
第7話 触手に捕らえられた少女の行方 ここまで