第4話 岩石島漂着
○岩石島漂着
球の秘部に向かって、おびただしい数の細い触手と繊毛が襲い掛かってきた。
恥丘、大陰唇、小陰唇、会陰、尿道口、陰核包皮、陰核、それに膣口に至るまで・・・
秘部一帯をイソギンチャクが埋め尽くしたと言っても過言ではなかった。
その異常な行動と不気味な感触に球は堪らず絶叫した。
「ぎゃあ~~~~~~~~!!やめて~~~!!大事な場所を突っつかないでよ~!やだあ~~~~~~~!!きしょ~~~!!きしょ過ぎる~~~~~!!」
すぐに下着を脱がしたがる人間の男とは違って、脱がすすべなど知らないイソギンチャク達は、ひたすら球の下着に潜り込むことだけに没頭しているようだ。
すごい数のイソギンチャクが球の白いブラジャーとショーツに潜り込み、下着はパンパンに膨れ上がってしまった。
「いや~~~~~!!やめて~~~~~!!ダメェ~~~~~!!誰か~~~!!誰か助けて~~~~~!!謙太ぁ~~~~~!!!!!」
球の悲痛な叫び声も、ここが陸上なら誰かの耳に届いたかも知れない。
しかし大海原ではいくら叫んでも波の音が全てかき消してしまう。
球は襲い来る“海の白い強姦魔”達と闘う以外他に方法はなかった。
奇妙なことに、イソギンチャクの集団が球を襲う部隊の他にも別働部隊が活動していたのだが、現在の球がそのことに気づくはずもなかった。
別働部隊は球を襲わずゴムボートにまとわりつき、ひたすらゴムボートをある一定方向へと移動させていた。
その働きぶりはまるで働き蟻を彷彿させるものであった。
ゆっくりとしたテンポで着実に、球はある小さな無人島へと運ばれていった。
「にゃあ~~~!!ひゃあ~~~!!そこに入っちゃいやあ~~~!!あぁん~、ソコ触らないで~、いやん!やめて!お願いだからぁ~~~~~!!」
イソギンチャクはまるで女の身体を知り尽くしているかのように、球の敏感な個所に愛撫の波状攻撃を掛けた。
不思議なことに恐怖感の極致の中で、かつて経験したことのない奇妙な快感が球の体内に芽生え始めていた。
球は無我夢中で身体を激しく動かし、まとわりついてくるイソギンチャクを振りほどこうとした。
だがいくら振りほどいても、次から次へと吸盤のようにイソギンチャクが付着してくる。
球がようやくはらい除けても、空いた場所に別のイソギンチャクが喰らい付いてくる。
イソギンチャクとのそんな果てしない戦闘がどのくらいの時間続いたのだろうか。
長いような・・・意外と短かかったような・・・
いつの間にかゴムボートは岩石だらけの小さな島へと辿り着いていた。
いや、島に辿り着いてはいたが、ボートは止まることを知らなかった。
イソギンチャク達は一体球をどこに連れて行こうとしているのか。
第4話 岩石島漂着 ここまで