五右衛門風呂ならぬ鰻風呂へ


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第二話 五右衛門風呂ならぬ鰻風呂へ


 ○恐怖の入浴

 まもなく土間の中央に木製の浴槽が備え付けられ、水が浴槽の中程まで注ぎこまれた。さらに浴槽の下には釜がありさらにその下には薪までが用意されていた。
 意図を知らない源五郎は首をかしげ小菅に尋ねた。

「旦那。もしかしてこの女を釜茹にでもするつもりですかい?」

 小菅は失笑した。

「ばかやろう。五右衛門じゃあるまいに、そんなことしたら死んじまうじゃねえか」
「まあ、それはそうですが……」

 源五郎は頭を掻いた。
 そこへ黒山が口を開いた。

「知りたいか?」
「へえ、そりゃあ、もう~」
「じゃあ、教えてやろう。この女には今から風呂に浸かってもらう」
「はぁ?風呂……ですかい?はて……?」

 美女の入浴を見るのもまたとない機会だが、それよりももっと過酷な拷問を期待していた源五郎は拍子抜けしたような顔をした。
 小菅は含み笑いを浮かべている。

 まもなく黒山が合図を送った。

「おい!」

 黒山の合図とともに奥から二人の下男が飛び出してきた。
 二人は無言のまま、ありさの両脇から挑みかかり、衣服を剥ぎ取りにかかった。

「きゃぁ~~~!何をするんですか!やめてください!」

 ありさは悲鳴をあげ、身をよじって抵抗したが、町娘の衣服を剥ぎ取ることに大した手数は掛からなかった。
 下男たちの動きはとても俊敏で、さほどの時間もかけず、ありさは腰巻もろとも全ての衣類を剥ぎ取られてしまった。

「は、恥ずかしい……お願いです!着物を返してください!」

 すがるように哀願するありさの両腕を背中に廻し後手に縛りあげると、下男が竹の棒を取り出した。ありさを押さえつけ、むりやり座らせ、開脚姿勢でありさの両足首を竹の棒にくくりつけてしまった。
 下男たちがありさをかつぎ上げ、浴槽へと運んでいく。

 竹の棒の長さは浴槽の幅と比べわずかに短く、浴槽にすっぽりと填まり込んでしまった。両腕を後手に縛られているため、このような体勢になるとありさは自力で立ち上がることができない。
 ちゃぷっ、ちゃぷっと水音を立てて身体を揺するのが精一杯だ。
 強制的に立膝にされたため膝頭が水面から顔を出し、Mの字型にされ閉じることのできない両足の付け根の黒い茂みが水中でゆらゆらと揺れていた。

「私をどうしようと言うのですか!?お願いです!ここから出してください!」

 何をされるのかは分からない。しかし自分の身に良くないことが降り掛かってくることはありさにも予測がついた。

「白状するまではそこから出さないぞ。さあ、今のうちだ。俊吉とは情を交わした仲だと正直に吐くんだ」
「本当です!俊吉とは関わりありません!」

 半泣きになって容疑を否認するありさに黒山は冷たい視線を返し、下男たちに合図を送った。下男たちは土間に置かれていた大きな盥(たらい)を両側からかつぎ上げ、傾けて中身を浴槽の中に放り込んだ。
 その瞬間、ありさは「きゃっ!」と驚きの声をあげた。

「な、何?これは何っ!?」

 ありさは放り込まれたものに目を見張り、見る見るうちに顔色が変わっていった。

「きゃぁ~~~~~~~~~~!!」

 盥に放り込まれたものは鰻で優に三十匹は超えていた。
 数匹の鰻ならさほどでもないが、無数の鰻が狭い場所でとぐろを巻いている光景は蛇を彷彿させ実におぞましいものであった。所狭しと動き回る鰻はありさの身体にぬるぬるとまとわりついた。まるで複数の男性に肌を撫で廻されているようなものだ。

「ひゃぁぁぁぁぁ~~~~~~~!!」

「こりゃすげえ」

 驚いたのはありさばかりではなかった。小菅の横で眺めていた源五郎たちが大大袈裟に仰天した。

 太股や腰、腹などに黒光りした鰻の胴体が擦りつけられるたびにありさが身をよじって喘ぐ。下半分が水に没した乳房がふるふると震え、そこに巻きつくように鰻がまとわりついてきた。
 鰻は触れるたびに、その気味悪さからありさは「きゃぁ!きゃぁ!」と悲鳴をあげた。
 その奇抜でかつ淫靡な光景に、思わず男たちが口元をほころばせた



第二話 五右衛門風呂ならぬ鰻風呂へ ここまで

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